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書斎

読んだ本のレビューを、三日後に内容を増すれてしまう自分のために書きます。あと君のために。

オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎

伊坂幸太郎。この人知ってる。

 

なんでだろう。なぜだか全然わからないし、こないだ考えて考えて、「以前にこの作者の本読んだことある!」と思ったんだけれど、それは筒井康隆の『旅のラゴス』っていう本でした。

 

もはや僕の前世が伊坂幸太郎の曽祖母とかなのではないかと思っちゃうくらいです。

 

とにかく、この人の名前を見た時に「これなら絶対面白いと思って読める」とそう直感しました。だってオーデュボンの祈りってかっこいいじゃん。面白そうじゃん。

 

こんなに自分で期待値を上げて読んだ本は初めてで、ウキウキだったんですけど、はじめに最終的な感想を言わせてもらうと、「期待通り面白かった」です。

 

アラスあらすじ

これでもか、というほどに簡略化したあらすじを書きます。主人公が、誰にも知られていない荻島という宮城県付近に存在する島にヒョンなことから連れて行かれ、150年ぶりの「外の人間」として島民と関わっていく中で、殺人事件が起こります。役に立たない警察と、なんでも知っているカカシを失った島で主人公たちが謎解きをしていくストーリーです。

個性的な登場人物

めちゃくちゃ月並みのこと言いますから気をつけてくださいね。

登場人物が全員個性的で惹きつけられる。これに尽きるのではないでしょうか。あと、こいつ死ねば良いのにってこんなに強く思ったことはないくらい嫌いな登場人物も出て来て、僕の感情が忙しかったです。

作品の設定上特殊な人が出て来やすいのかもしれませんが、一般的?な主人公と良い対比になっていたと思います。ゴールデンリトリバーに似ている日比野とかめっちゃ友達になりたいもん。

 

僕は将来仕事を辞めて荻島を探す旅に出ようと思います。そして何かの間違いでアラスカに流れ着いて原住民と一緒にトナカイとアザラシの生肉を食べて生活します。

 

叙述トリックの完成度

実は、この本は前の記事で取り上げた叙述トリックミステリー三作品のうちで一番最近読んだ本なんです。順不同になってしまうけれど、内容覚えているうちに書いたほうがいいと思ったのでこの作品から書いています。

なので、この作品を読む時にはなんとなく叙述トリックってこうゆう感じなんだというのが分かってきたのですが、正直本作品では叙述トリック要素は強くないのかなって思いました。

 

この程度の叙述トリックならテレビでやってるサスペンスにだってよくあるし、わざわざ取り上げる程ではないと思います。ただ、普通にミステリーとして、ストーリーや世界観を楽しむ小説としては非常に面白い。そんな印象。

 

そして三作目にしてまたもや気づいたのは、「僕、叙述トリック好きじゃない」ということ。だって一つ前の記事でも言ったけれど、やはり叙述トリックって括ってしまっている時点で「最後にドンデン返し来ますよ!」という一種のネタバレだし、そうすると「あー、うんうん、なるほどね、そうゆう感じで来るのね、うん」って阿呆の子になっちゃう。

 

まだ叙述トリックミステリー三作しか読んでいない僕様に言わせると、この作品は叙述トリックとかどうでもよくて、作中の誰かに共感できるかどうか、が楽しめるかどうかに直結しています。

 

僕はこの本を読んでいて完全に島の住人になっていたし、なんならいつも主人公の隣で一緒に行動していたつもりでしたので、読み終わった時は島から追い出されたみたいで悲しい気持ちになりました。京王線の電車の中で沈んでいました。

 

とにかく、僕の前世の曽孫である伊坂幸太郎くんのデビュー作『オーデュボンの祈り』、個人的にはとても楽しめました。皆さんも読んだら僕と一緒に荻島を探しに行きましょう。